こんにちは!
カナダで発酵生活にハマっています、MACOです。
発酵食品を手作り…というと温度管理が難しいイメージですが、インスタントポットの保温機能を使えば、簡単にいろんなものが作れます。
海外で手に入りにくい甘酒や塩麹、優しい甘さが嬉しい発酵あんこ。全部ほったらかしでできますよ^^
今日はインスタントポットの保温機能を使った発酵食品の作り方(レシピや設定など)をまとめました。
インスタントポットの保温機能の温度!発酵との関係は?
保温機能の温度
インスタントポットで発酵食品を手作り…という場合、ヨーグルト機能に目がいきがちですが、米麹を使った発酵食品を作りたいなら保温機能が便利です。
インスタントポットの保温の温度は『低/Less』『中/Normal』『高/More』の3種類に分かれています。この3種類の保温温度は63〜78度(インスタントポット説明書より)。
それぞれの明確な温度は公開されていないようなので、保温を使って甘酒を作る際に実験してみました^^
【フタをせず濡れぶきんをかぶせて3時間保温した場合】
- 低/Less:約59度
- 中/Normal:約63〜64度
- 高/More:約73〜75度?(熱くなりすぎると発酵がうまくいかないので、あくまで予想です)
結論からいうと、米麹を使った発酵食品づくりに最適なのは『フタをせず濡れぶきんをかぶせて保温モードの中/Normal』です。
そこを踏まえつつ、次の項目では米麹の発酵温度との関係をみてみましょう。
発酵に必要な温度
今回ご紹介する甘酒・塩麹・発酵あんこは、すべて米麹を使って作ります。
米麹の発酵温度について大切なポイントは、こちら。
- 約60度:デンプンを分解する酵素が一番活発になる温度
- 約70度:失活する温度(酵素が働かなくなる)
- 約80度:麹菌が死滅する温度
例えば甘酒が甘いのは、麹に含まれるアミラーゼという酵素がお米のデンプンを分解し、糖分に変えてくれるから(糖化)。アミラーゼが一番活発になる温度は60度です。
これを利用して甘酒や塩麹を作ることができるというわけですね。
インスタントポットの保温機能の中モード(Normal)は、フタを使わずに濡れぶきんをかぶせた状態で約63〜64度。
米麹を使った発酵食品を作るのにちょうどいい温度だということが分かりますよね^^
インスタントポットで納豆やヨーグルト等の発酵食品を作りたい場合は、別記事でご紹介していますので、ぜひこちらも。
ヨーグルトの作り方を見るインスタントポットでヨーグルト!簡単な作り方や容器&温度などを徹底解説
納豆の作り方を見る【納豆の作り方】インスタントポットで海外でも簡単手作り!失敗例も公開
インスタントポットで作る【甘酒】のレシピ
甘酒とは
甘酒はお米と米麹、またはお米と酒粕を原料に作られる健康ドリンクです。
材料がお米と麹だけなのに甘みがあるのは、麹菌が作り出すアミラーゼという酵素のおかげ。アミラーゼがお米のでんぷんを分解してブドウ糖に変えてくれるため、甘酒は砂糖が入っていないのに甘いというわけですね。
さらにお米と米麹から作られた甘酒にはアルコール分は含まれていないので、子供も安心して飲めるのが嬉しいポイントです(酒粕が原料の甘酒には微量のアルコールが含まれています)。
栄養価も高く、ビタミンB群、ミネラルや必須アミノ酸等が豊富に含まれているため、『飲む点滴』『飲む美容液』と呼ばれています。
忙しい朝、元気が出ない時に積極的に取り入れていきたいですね。
材料
甘酒の材料はこちら。
【甘酒】
- 乾燥米麹:200g
- お米:1合(水360ccで柔らかめに炊く)
- 水:400cc
※甘酒は米麹だけで作るレシピ、米麹とご飯を混ぜて作るレシピがあります。今回はご飯と混ぜる方で作りました。
作り方(温度や設定)
インスタントポットを使った甘酒の作り方をご紹介します。
①お米1合を水360ccで柔らかめに炊く。炊けたご飯をインスタントポットに移し、水400ccを入れて混ぜる。
②温度が60度以下になったら、米麹を混ぜる。
※右の写真右くらいのヒタヒタな状態でスタートしました。
③インスタントポットを設定して発酵スタート。
【設定】
- 保温モード:中/Normal、10時間
- 濡れ布巾を被せる(フタは使わない)
ときどき中をチェック、水がなくなっていたら足して混ぜる。
④トロッとして甘い香りがしたら完成。
5〜6時間をすぎたあたりから甘みが出始めます。消毒した清潔なスプーンで味見してみると、発酵の世界を感じられて楽しいですよ^^
完成したら、お好みで『火入れ』を行いましょう。
甘酒の火入れとは?
甘酒の火入れとは、できあがった甘酒を一煮立ちさせること。
火入れのメリットとデメリットを見てみましょう。
【メリット】
- 保存期間が長くなる
- 発酵が進まなくなる(酸っぱくならない)
- いっそう甘くまろやかになる
【デメリット】
- 麹菌が死んでしまう
- 酵素やビタミンが減ってしまう
市販の甘酒は火入れしてあるものがほとんど。火入れなしの甘酒を楽しめるのは、手作りならではですね。
ただし火入れしていない甘酒は日持ちしませんし、冷蔵庫で保存すると発酵がすすんで酸っぱくなってしまいます。
なので『2〜3日で飲みきる分』と『長期保存する分』に分けて、火入れするかしないか決めるといいかも。味の面でいうと、私は甘さが増すので火入れありの方が好きです。
日持ちと保存方法
日持ち
手作り甘酒の日持ちについては、いろんな意見があります。
まとめると、こんな感じ。
火入れ | 冷蔵保存 | 冷凍保存 |
あり | 1週間 | 1ヶ月〜3ヶ月 |
なし | 2,〜3日 | 1ヶ月〜2ヶ月 |
火入れの有無にもよりますが、遅くても1週間以内に飲み切るようにしましょう。
また甘酒に豊富に含まれるブドウ糖は、雑菌のエサにもなります。保存料等が入っていない手作り甘酒は雑菌が繁殖しやすい環境。ちょっとでも異常を感じたら、飲まないようにして下さいね。
保存方法
甘酒は冷凍することができます。
すぐに飲む分以外は冷凍しておくと便利ですよ^^
私は冷凍する分も、甘酒として飲む分はジップロックで、調味料として使う分は製氷皿でキューブと使いやすいように分けています。キューブ状の甘酒、料理に使いやすいのでおすすめ。
使い方とアレンジ例
甘酒のおすすめの使い方は2つ。
- 豆乳甘酒にして飲む
- 調味料として使う
それぞれ簡単にご紹介します。
豆乳甘酒
豆乳と甘酒を1:1で混ぜ、弱火で温めるだけ。
温めた後にブレンダーで攪拌すると、ふわふわに泡立ちます。シナモンをトッピングしてもOK、ショウガを混ぜると体がポカポカに。
豆乳と甘酒の分量は1:1じゃなくてもいいので、お好きな配合を見つけて下さいね。
調味料
YouTuberの一人前食堂のMaiさんがよく甘酒をみりんや砂糖の代わりに使っています。
甘酒を調味料として使うと料理の味が柔らかくなる気がしますし、罪悪感も少なめに。
こちらの動画、調味料としての甘酒の使い方が参考になるのでおすすめです(後述する塩麹やしょうゆ麹も登場します)。
レシピ本もおすすめ↓↓
インスタントポットで作る【塩麹】のレシピ
塩麹とは
塩麹とは、麹と塩、水を混ぜて発酵させた調味料のこと。
麹のまろやかな香りと優しい塩味が特徴で、お肉や魚をふっくら柔らかくしてくれます。
これは麹菌が持っている『プロテアーゼ』という酵素のおかげ。プロテアーゼがお肉のたんぱく質を分解することによってお肉が柔らかくなり、うま味を引き出してくれるんです。
2011年頃に『お肉を柔らかくおいしくする』と大ブームになり、現在でも人気の調味料として広く愛用されています。
材料
塩麹の材料はこちら。
【塩麹 500ml分】
- 乾燥米麹:200g
- 塩:70g(麹の35%)
- 水:300cc
作り方(温度や設定)
インスタントポットを使って作る塩麹の作り方はこちら。
①米麹と塩をよく混ぜて、水を注ぐ。
右の写真くらいシャバシャバで大丈夫。すぐに麹が水を吸ってしまいます。
②容器ごとインスタントポットに入れて発酵スタート。
【設定】
- 保温モード:中/Normal、7時間
- 濡れ布巾を被せる(フタは使わない)
③ときどき中をチェック、水がなくなっていたら足して混ぜる。
甘酒と同じく、最初のうちは乾燥麹が水を吸って水分がなくなります。1時間後くらいにチェックして、ひたひたになるくらいに水を足しましょう。
④トロミが出て、甘い香りがしたら完成。
塩麹は常温で発酵させると2週間くらいかかります。
個人的には、短時間で発酵させた塩麹よりも、ゆっくり常温で発酵させた塩麹の方がおいしい気がしています。常温発酵の方が味に深みがあってまろやかというか。
でもたった7時間で完成するのはお手軽だし、甲乙つけがたい…(笑)。
日持ちと保存方法
手作り塩麹の賞味期限については、意見がさまざまです。
冷蔵保存で3〜6ヶ月くらいという声が多いので、私は一度にたくさん作りすぎず、3ヶ月をメドに使い切るようにしています。
保存は熱湯消毒したガラス容器に入れ、使う時は清潔なスプーンを使うようにして下さいね。
大量にできた場合、ジップロック等に入れて冷凍保存することも可能。2週間分で使い切るくらいの量に小分けし、解凍できるようにしておくと便利ですよ^^
使い方とアレンジ例
塩麹の便利な使い方はこちら。
- お肉や魚をつけておく→柔らかくジューシーに!
- 塩の代わりに調味料として使う→まろやかな塩味で風味ゆたかに!
- 生野菜を和える→キュウリやニンジンがおすすめ!
お肉や魚をつけておく場合は、塩麹で表面をうすーく覆う程度でオッケー。30分くらいでもバッチリ柔らかくなります。
ただし塩麹をつけたまま調理すると焦げやすいので、気になるならキッチンペーパー等で拭き取りましょう^^
脂身の少ないブロック肉が主流のカナダ、塩麹は本当に重宝するよ!
インスタントポットで作る【発酵あんこ】のレシピ
発酵あんことは
発酵あんことは、小豆と麹のみを使って作るあんこのこと。
麹菌の酵素を利用して小豆のデンプンをブドウ糖に変えるため、砂糖なしでも甘さがあります。甘酒と同じしくみですね。
小豆は食物繊維が豊富で、抗酸化作用をもつポリフェノールやサポニンが多い優秀食材です。
積極的に取り入れたい食材ですが、小豆を使ったメニューが次々に思い浮かぶ人は少ないのではないでしょうか。普通のあんこを使ったお菓子は糖分が高いですし、頻繁に食べるはちょっと抵抗がありますよね。
その点、発酵あんこは砂糖不使用なので、普段の暮らしに取り入れやすいのが魅力です。
材料
発酵あんこの材料はこちら。
【発酵あんこ 約900g分】
- 乾燥米麹:200g
- 乾燥小豆:200g
- 水:小豆がかぶるくらいたっぷり
- 塩:ひとつまみ
作り方(温度や設定)
インスタントポットを使って作る発酵あんこの作り方はこちら。
①乾燥小豆を水から茹でて、沸騰したらザルにあげてお湯を捨てる。
※小豆は一晩浸水させる必要はありません^^ 乾燥した状態でゆで始めてオッケーです。
【設定】
- 炒めものモード:時間は適当
- フタはしない
また小豆は茹でこぼす(一度沸騰させてお湯を捨てる)ことでエグミが抜けます。
②インスタントポットに小豆とたっぷりの水を入れ、豆料理モードで調理。
【設定】
- 豆料理モード:高圧、30分
- フタを閉め、蒸気バルブはSealing
ナチュラルリリースで20分ほど、茹で上がりの温度は70度くらいでした。
③小豆がゆで終わったらお湯を捨て、小豆が60度以下に冷めたら米麹と混ぜる。
小豆は簡単に指でつぶせるくらいの固さになっていたらオッケー。
④インスタントポットに入れて発酵スタート。
【設定】
- 保温モード:中/Normal、8時間
- 濡れ布巾を被せる(フタは使わない)
発酵あんこも最初のうちは乾燥麹が水を吸って水分がなくなります。1時間後くらいにチェックして、全体的にしっとりするくらいに水を足しましょう。
⑤甘くなっているのを確認、塩ひとつまみを混ぜて完成!
日持ちと保存方法
冷蔵保存の場合は、2〜3日で食べ切るのがベター。
冷凍保存するなら、1ヶ月を目安に食べ切りましょう。1回分ごとに小分けしておくと便利ですよ^^ 食べる時は冷蔵庫に入れて自然解凍すればオッケーです。
使い方とアレンジ例
発酵あんこを食べてみて思ったのは、とても優しい自然な甘さだということ。
トーストに塗ったりヨーグルトにのせたり、ダイレクトに食べるのがおすすめです。豆乳を固めた台湾スイーツ豆花(トウファ)のトッピングにも美味。
ただし普通のあんこと同じように使うと、ちょっと味気なく感じるかもしれません。
実際にあんこ餅を作ってみましたが、ほとんど甘さを感じず。かなり物足りませんでした。加工する時は少しメープルシロップで甘みを足すといいと思います^^
米麹があまったら、醤油麹がおすすめ
発酵食品づくりに登場する米麹、あまったら『醤油麹』にするのがおすすめ。
醤油麹とは醤油と麹を発酵させた調味料で、グルタミン酸のうまみ成分が塩麹の約10倍といわれています。
作り方は塩麹よりもカンタン。
【作り方】
- 清潔な容器に麹を入れ、ヒタヒタになるまで醤油を注ぐ
- 軽くフタをして、1日に1回かき混ぜる
※麹が醤油を吸うので、最初の1〜2日は醤油を足す - 1週間ほどして、とろみが出たら完成!
醤油麹は醤油よりもまろやかでコクのある味わいなので、少量で味が決まるのが嬉しいポイント。和え物にしたりご飯に乗せたりと、塩麹よりも使い道が多いのが特徴です。
保存期間は冷蔵保存で約3ヶ月ほど。
まとめに
私が発酵食品づくりを始めたのは、YouTubeの『一人前食堂』がきっかけでした。
みりんやお砂糖の代わりに甘酒、塩の代わりに塩麹、醤油の代わりに醤油麹などなど、発酵食品を上手に利用した体に優しいレシピを見て目からウロコ。
海外生活で疲れた胃腸をいたわり、少しでも体質改善できたらいいなと思っています。
インスタントポットの保温機能のおかげで、発酵に対する苦手意識がなくなりました^^ 発酵食品作りって温度さえ管理できれば、作り方はシンプルで簡単です。
これからも色んな発酵食品にトライしてみようと思っています^^
\納豆やヨーグルトの作り方はこちら/